DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2013.11.20

第38回 月刊「美楽」2013-12月号

『井上慎一氏』
 
 同世代の経営者として、今、僕の中で一番輝いているのは、ピーチ航空の井上慎一社長。事務所にお越し頂くときは、いつも大きなトランクと10キロはあろうと思われるアタッシュケースを持って、移動されているようだ。歯切れの良い言葉に、どこか人情味がある。聞き上手で寛大。鋭敏な眼光は、ピーチ航空の将来だけでなく、日本の未来を読んでいるようだ。
 
 井上さんのフットワークは、明日の日本の外交を支えている。
 
 経営者が革新すれば、企業は前進し、やがて社会のイノベーションとなる。





2013.11.19

第37回 ポール・マッカートニーの声

 ポール・マッカートニーの声に関しては、何人もの評論家が分析し、賛美を送っている。
 十数年前に、福岡ドームの公演をプロデュースしたとき、いわゆる彼の話し声を聞く機会があったのだが、その声が歌声に変わると、振幅数も変わり、少し太くなることで何とも言えない優しい音質に変わる気がする。
 
 よく音楽は、国境や宗教や性別や年齢はすべてを越えて、人々を結びつけると言うのだが、正確に言うと、あらゆる人間の心の中の部屋にビザなしで入り込んでいく特種なメディアなのではないかと考える。
 ひとたび、ポール・マッカートニーが歌い始めると、その声は誰の心の中にも優しく入り込み、そこでそれぞれのドラマを作り出し、感情を揺さぶり、時として永遠に根を生やす。

 東京ドームに集まった数万人の人々を見ていると、それぞれに根付いたポールの歌が、それぞれに違う色の花になって、まるでお花畑のように見える。芸術家とは、そういう意味では心に種をまくという神様から与えられた人なのかもしれない。






2013.11.18

第36号 平成25年度 自衛隊音楽まつり

 自衛隊音楽まつりが日本武道館で行われた。
 月刊「美楽」の執筆者でもある古庄さんのお陰で、随分海上自衛隊に対する僕自身の知識や愛着度もあがったし、考えてみればどこかで戦争や軍隊に対する誤解や偏見を持ってしまっていたようである。
 生まれたときから一見、平和な日本の中で物質的な豊かさばかりを追い求めてきた日本国民も、この数年ようやく今までの数十年間が幻覚なのではなかったかと感じ始めている。

 物心ついたときに、日本の学生たちは意味もなく戦争反対の平和主義に溺れた。例え、世界のあちらこちらで民族の独立紛争が起きようが、宗教戦争が起きようが、食料危機が起きようが、言って見れば日本人は、気に留めることもしなかった。
 敗戦という手形の変わりに、アメリカの経済的な捕虜となり、欧米の精神的な属国となって、高度経済成長という借り入れで、この国は支えられてきた。
 海上自衛隊5万人、航空自衛隊5万人、陸上自衛隊20万人。彼らは、日本有数の国際人であり、文化人であり、知識人である。日本の置かれた国際的な立場や、日本のすべき役割や、日本が残すべきものなど、そういったこの国の強みや弱みを毎日のように学んでいる。言うなれば、日本という規律が失われた国家の最後の歯止めとなる組織のように思えてくる。

 日本人が一人一人何かに立ち向かい、何かと戦わなければならない日が来ている。