DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2008.11.30

第45号 電子煙草の工場見学

 エコスモーカーの工場見学にシンセンに。週末の金曜日の羽田発のJALで、香港着は深夜の1時。考えてみれば、この便を使えば、週末の土曜日を有効に使って、香港(シンセン)とのコミュニケーションが取りやすくなる。・・・・但し、日曜日の深夜2時に帰国するという、過酷な体力が必要だが。

 サブプライムの影響で、中国の経済は、壊滅的な状況になりつつある。
「街中での、窃盗やすりが多いですので、・・・・・」
通訳のチェンさんが念を押した。


 香港と中国の国境で、出国許可をもらい、50メートル先の中国の入管で入国許可証をもらう。ヨーロッパでは、当たり前のこの光景は、やはり僕達日本人にはもの珍しい。・・・・・電車でシンセンに行かなくて良かった。車での移動が、時間も神経も楽にしてくれる。


 電子煙草の工場は、400人以上のスタッフが、ベルト・ラインの両サイドに並び、バッテリーのチェックから、点灯のチェック、フィルター液の混入、箱詰め・・・・・人件費の安い中国ならではのファクトリー!!!びっくり。

 香港に戻って、インターコンチネンタルで、時間調整。
「今年のイルミネーションは、少なめですよ」
香港在住25年の森山さんが、香港島を眺めている。

 テレビでは、タイの空港閉鎖を革命前夜と報道している。CNNはインドのムンバイの爆発テロで、国際経済の影響が深刻になると、・・・・・アジアが揺れている。中国がその”心臓”であることは、間違いない。





2008.11.20

【第44号 「美楽」12月号】

『零の雪』

 突然身包みを剥がされるような強い突風が吹いて、その凍てつくような北風は、地球の回転を止め、軸を凍らせ、先進国から後進国まで巻き込んで凍てつくような世界を創ってしまった。
「サブプライムショック」とカタカナで表現しているところに尚更その欺瞞性(ぎまんせい)が高くなった。これは言い換えてみれば、「不動産債権の世界な詐欺商法」。

 宇宙の果てから舞い降りてきたような、雪の結晶を手の平に受け止めて、皮膚の体温で溶けるのをじっと眺めている。指先が冷え切るのも忘れ、その美しさに見とれていると放課後のチャイムが鳴った。校舎も校庭も鉄棒も池も水飲み場も、すべてが白い綿で覆いつくされたような境目すらない。

 国境がなければ、人種もなければ、宗教もなければ、或いは貧富の差がなければと、歌った詩人ジョン・レノンの歌のように今、世界は“真っ白な零”からやり直すことが出来るのであろうか。





2008.11.01

第43号 ちばきや(葛西駅)

「ちばきや」の千葉さんとは20年以上の付き合いになる。当時は銀座にある有名な蟹料理店で料理長を勤めていた。夜になると、部下のスタッフの面々と一緒に行きつけの飲み屋でカラオケを唄った。

 ある夜、「今、ラーメンを研究していると、深刻な顔で話をしてくれた」
今ほど、ラーメン・マーケットが拡大する以前の事で、僕は”包丁すてて、ラーメン?”との問いかけに、理解できなかった。

 あれから「ちばきや」は日本で一番、上品でうまいラーメン屋になって、羽田空港のロビーにまで出店している。
 千葉ちゃんは、今夜も朝まで新しい味を研究している。