COLUMN:日刊ゲンダイ「数字のホンネ」

 

2007.12.04

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第41号 学校相手の“クレーマー”が急増『モンスター・ペアレンツ認知59.7%』

 モンスター・ペアレンツという言葉をご存知だろうか。
幼稚園や小学校、はたまた高校から大学まで、学校に対し激しくクレームや要求、場合によっては暴力沙汰を起こす父兄のことをいう。

 キャリア・マム(マーケティング、コンサルティンブグ会社)が実施した実態調査では、調査対象者の59.7%がモンスター・ペアレンツの存在を知っていた。
さらに強烈なのは、実に30%近くがモンスター・ペアレンツが周りにいると回答したことである。

 具体的なクレーム先は34.7%が担任の教師、次いで32.2%が校長もしくは園長、15.3%が保育士、5.1%が担任以外の教師、4.2%が教育委員会に直訴、というパターンである。その内容は多岐にわたる。
通勤に間に合わないから通園バスを早く寄越せ、あるいは運動会の競技の内容の変更、教室の雰囲気に対するクレーム、テストの出題に関するクレーム、ひどいものでは給食のメニューから校則の変更まで。

 これらのモンスター・ペアレンツの特徴は自分の家庭が世界の中心であると考えているところである。私の友人のある校長は、「年々そういう親が増えている」と嘆いていた。
つまり、家庭内での教育はほっぽり投げて、気に入らないことがあると担任や学校にとどまらず、教育委員会、文部科学省にまで突撃をする。まさにモンスターなのである。

 一方で、自分の子供のことを学校に任せないで、自分で教育する親も出現している。
「いじめ問題」などの決定的な対処の方法もないなか、親が学校に対する不信感を持つという現象は、わからないではない。しかし、核家族化して、先生と親との間にサンドイッチになってしまった2000万人以上の子供たちが、モンスター・ペアレンツ以外に頼るべきものをなくしてしまったこの国の将来が危ぶまれる。


2007年12月4日号