COLUMN:日刊ゲンダイ「数字のホンネ」

 

2007.06.26

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第22号 あまりに寂しいフトコロ事情の改善策 『サラリーマンの小遣い4万8800円』

 サラリーマンの小遣いが3年連続で増えた。GEコンシューマー・ファイナンスが全国の男性サラリーマン500人を対象に年1回実施している調査で明らかになったものだ。

 それによると、1ヵ月の小遣いは平均4万8800円。昨年より3300円アップした。とはいえ、バブル期の90年には7万6000円だったから、まだ6割強にしか回復していない。

 年代別ではやはり20代が最も多く5万6100円。逆に最も少ないのが40代の4万2100円だった。その使い道は、「昼食代」が55.6%。1回の昼食にあてる額は590円で昨年より60円減っている。飲み代は1回平均4380円で、こちらは700円減少だ。

 小遣い4万8800円というと、1日あたり1600円強だ。ここから昼食代を差し引けば1000円しか残らない。これでは仕事帰りの一杯もままならない。「働けど働けどなお・・・・・」が大方のサラリーマンの実感ではあるまいか。

 そんな厳しい懐事情を改善するにはどうしたらいいか。ひとつは出費を抑えることだ。ここは金銭感覚にシビアなOLたちの知恵を参考にしたい。筆者のサラリーマン時代の後輩OLは、週に3回は弁当持参だった。彼女は「量が決まっているし、おかずも自分で決められるからヘルシーだし、おカネもかかりません」と言っていた。倹約と健康管理の一石二鳥というわけだ。そして、ランチを外で食べたつもりで、弁当持参の日は500円貯金をしていた。

 上司の活用という手もある。これは飲み代の節約だ。できれば、他部署の上司に飲みに連れていってもらう。これだと直属の上司のグチに付き合わなくても済むし、社内コミュニケーションにもなる。
あとは、図書館の活用。「最近は登録しておくと、新刊などの希望する本を事前に予約しておくことができるんです。それが入るとメールで連絡してくれます」と、別のOLが教えてくれた。

 もうひとつは副収入の確保である。それには、ボーナスを徹底活用するしかない。株でもFXでもいい。30万円程度でいい。しっかり吟味して、うまく回す。
ミニ投資で経済感覚を養うのだ。仲間と副業の起業を考えるのも、ひとつの手。

小遣い不足は自分の才覚でやりくりするしかない。


2007年6月26日号



2007.06.19

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第21号 スキミングの怖さ 『クレジットカード不正使用被害額105億円/年』

 休みを取っていた日曜日の午前中、突然、カード会社から電話が入った。まさかとは思っていたのだが、偽造カードの不正利用による被害にあっていた。本当の話である。

 クレジットカードの不正使用の被害額は、平成18年度には年間105億円超。そのうち半分は偽造カードによるものである。特にスキミングといわれ、キャッシュカードの裏側の磁気テープのデータを読み取る行為が後を絶たない。カード所有者もまったく知らない間に高額な商品を買った事にされてしまう。置引きにあったり引ったくりにあったり、車上狙いと異なり、ごく普通にクレジットカードを利用し、精算時にスキミングされ、カード会社からの請求書を見て青くなるまで気がつかない。

 このスキミングには、CAT(クレジットカード使用時に使われる信用情報紹介端末機)の中にスキマーが仕掛けられているパターンと、店員が店の奥に持ち帰りハンドスキマーを使って顧客情報をスキミングする手口などさまざまである。

 過去に、ゴルフ場でのロッカーに監視カメラを設置し、プレー中にロッカーの中の財布からキャッシュカードをスキミングする手口もあったが、この手口も最近はさらに悪質化している。
あらかじめ仕掛けたスキマーを無線で操作するという、窃盗犯からすれば極めてリスクの少ない犯罪となっているのだ。
かつては海外での被害が多かったものだが、今ではむしろ国内のほうが危険地帯といえる。

 いずれにしてもスキマーをCAT内部に設置するという作業が必要なわけで、ゴルフ場や飲食店、ホテルなど犯人が事前に忍び込む必要がある。カード決済のできるすべての店は、もっともっとセキュリティーを強化しなくてはならない。

 ちなみにクレジットカードには盗難保険がついており、60日から90日間の保険適用期間内に不正使用されたと申し出れば保険が適用される。

 オレオレ詐欺の被害総額と偽造カードによる被害総額が合わせて500億円を超える犯罪大国ニッポン。カードを持つことは、今ではステータスというよりリスクですらある。
カード会社にはスキミング撲滅の対策を一日も早く講じてもらいたい。


2007.06.05

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第19号 この20年で半減 『公衆電話39万台』


 最近、公衆電話を使ったことありますか?

 1900年に国内で初めて公衆電話(当時は自働電話といった)が登場してから約100年が過ぎた。今では、街中でも探すのが大変なくらい見かけなくなった。採算の取れない公衆電話は撤去されていくからだ。

 NTT東日本・西日本によると、NTTが発足した1985年当時に91万台あったが、06年3月末には39万台と半減した。どうりで見かけなくなったわけだ。
減少の理由はハッキリしている。携帯電話の急速な普及に伴う利用数の激減だ。当然、公衆電話事業は大幅な赤字。05年度には144億円に達したという。

 収益性を考えれば、赤字事業を継続するのは困難だ。しかし、公衆電話ならではの役割があるのも事実。災害時の緊急連絡手段がその最たるものだ。
 
 たとえば、新潟中越地震の時も携帯電話がまったく回線使用不可能となり、一般電話も断絶し、緊急連絡を必要とした人々が集まったのは公衆電話だった。公衆電話は地震などの非常時に、一般電話や携帯電話が規制されても、つながりやすい「優先電話」の側面を持っている。そのため地震の時の避難経路などを記した防災マップに、公衆電話の場所が記されていることも多いし、いざというときに電池が切れたりもしない。
また交通事故や犯罪などの緊急時の通報にも役に立つ。

 普段は携帯を家に置き忘れたときぐらいしか、思い出さない公衆電話だが、その存在価値は大きい。道路や水道、ガス、公園、トイレと同様に、なくてはならない社会的インフラなのである。

 どうしたら公衆電話の減少に歯止めをかけられるか。それには災害時、緊急時以外の利用メリットを打ち出すことが欠かせない。
低料金だけでは勝負にならない。たとえば、大型のディスプレーを装着して、番号をプッシュするだけで必要な情報をプリントアウトできるようにするとか、携帯よりも便利な新サービスは考えられないのか。知恵の出しどころである。


2007年6月5日号


2007.06.05

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第19号 この20年で半減 『公衆電話39万台』

 最近、公衆電話を使ったことありますか?

 1900年に国内で初めて公衆電話(当時は自働電話といった)が登場してから約100年が過ぎた。今では、街中でも探すのが大変なくらい見かけなくなった。採算の取れない公衆電話は撤去されていくからだ。

 NTT東日本・西日本によると、NTTが発足した1985年当時に91万台あったが、06年3月末には39万台と半減した。どうりで見かけなくなったわけだ。
減少の理由はハッキリしている。携帯電話の急速な普及に伴う利用数の激減だ。当然、公衆電話事業は大幅な赤字。05年度には144億円に達したという。

 収益性を考えれば、赤字事業を継続するのは困難だ。しかし、公衆電話ならではの役割があるのも事実。災害時の緊急連絡手段がその最たるものだ。
 
 たとえば、新潟中越地震の時も携帯電話がまったく回線使用不可能となり、一般電話も断絶し、緊急連絡を必要とした人々が集まったのは公衆電話だった。公衆電話は地震などの非常時に、一般電話や携帯電話が規制されても、つながりやすい「優先電話」の側面を持っている。そのため地震の時の避難経路などを記した防災マップに、公衆電話の場所が記されていることも多いし、いざというときに電池が切れたりもしない。
また交通事故や犯罪などの緊急時の通報にも役に立つ。

 普段は携帯を家に置き忘れたときぐらいしか、思い出さない公衆電話だが、その存在価値は大きい。道路や水道、ガス、公園、トイレと同様に、なくてはならない社会的インフラなのである。

 どうしたら公衆電話の減少に歯止めをかけられるか。それには災害時、緊急時以外の利用メリットを打ち出すことが欠かせない。
低料金だけでは勝負にならない。たとえば、大型のディスプレーを装着して、番号をプッシュするだけで必要な情報をプリントアウトできるようにするとか、携帯よりも便利な新サービスは考えられないのか。知恵の出しどころである。


2007年6月5日号