2012年6月20日 | 2012年7月2日
2012.06.26
第26号 ベトナムの自転車
ベトナムの自転車は、川のように、雪崩れのように、僕を襲い掛かった。
洪水のように、押し寄せるオートバイに目を取られていると、背後から色とりどりの商売品を満載した高齢の女性が、声をかけてくる。
「ニッポン…トウキョウ……ゲンキデスカ」
僕は思わず、
「ホーチミンほど、元気じゃないよ」
と、呟いた。
国家が高度に文明化し発展していくことで、そこに住む人間の具体的エネルギーは、反比例して劣化していく。加えて、情報が発展し、ありとあらゆる全身の五感を刺激すればするほど、知的エネルギーも疲弊する。
ホーチミンは、まだまだ都市のエネルギーと敗北しない人間たちが生命という名のペダルを漕いでいる。
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