2010年5月26日 | 2010年6月5日
2010.05.31
第24号 月刊「美楽」6月号
『和紙人形』
ある日、蝶々が家の中に舞い込んだ。ちゃぶ台の上の和紙人形を花びらと勘違いしたのだろうか。2匹の蝶は気まずくなったように、家の中を飛び回り、やがてうつろに消えてしまった。
人も時に、さ迷いながら歩いてはいけない場所や入り込んではならない路地に迷い込む。
人生は、直線の道でもなく、曲線の道でもなく、限られた時間の中で、点と点が瞬間的に描く無数の足跡のような気がする。
しかし、振り返ると、それは、曲がりくねった線のようにも見えてくる。
私は今でも、あの蝶が無事に表に飛び出して、花畑の上を舞っているかどうか心配になることがある。
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