DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2013.12.20

第41号 月刊「美楽」2014-1月号

 『坂東玉三郎』
 玉三郎氏ほど、ストイックで勤勉な芸能者は見当たらない気がする。佐渡島の鬼太鼓(おんでこ)との共演の仕事を手伝わせてもたったことがあるが、この芸術家に完成という言葉もなければ、満足という言葉もなければ、ましてや妥協という言葉も存在しない。同世代を生きるものとして、フロントランナーというよりは、“永遠にたどり着けないゴール”のような存在である。
 芸の修練もせずに、ぶらぶら街を出歩いたり、マスコミに登場するのを楽しんでいる役者とは格違いどころか、別の世界で輝いているのである。