DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2013.05.23

第17号 平成25 年度遠洋練習航海

 平成25年度遠洋練習航海の出陣式に招待された。
 実は、朝からどきどきしていた。これだけ日本が不安定で、不安な状態の国家になるとは思っていなかったし、実は“忍び寄る国際関係の負”がいつの間にやらニュースの主人公になっている現状がいてもたってもいられない。
 国家経済の破綻と同時に、簡単に言えば、アメリカや欧米の先進国からの厳しい締め付け、さらには中国をはじめとする後進国の侵略のにおい。さらには、それらと対応するための人材不足。

 普段は滅多に目にしない光景だが、所謂純白の制服に身をまとっている青年たちは、皆、成人式を終えたばかりの若者である。彼らはこれから数ヶ月の間、地球のあちらこちらに寄港しながら、国際情勢を学び、外国人とふれ合い、きっと海洋国家日本の位置づけをイメージする大切な旅に出る。
 会場には、北村防衛大臣をはじめ、安全保障条約で結ばれているアメリカやその他の国の歴々が代わる代わる祝辞を述べていた。その間、約1時間半、自衛官たちは、1センチも体を揺らすことなく、出陣の志を固めていた。

 昭和20年5月、父のすぐ上の兄(私の叔父)がマラッカ海峡で亡くなったと聞いた。亡くなった祖母の話によると、海軍士官学校エリートで、おそらく彼はその3ヶ月後に終戦(敗戦)を迎えるとは思ってはいなかったように思う。
 海で働く人々は、陸に働く人々に比べ、自分の価値観が強固で、限られた情報の中で、現状を把握し、分析する能力が優れているように思う。風と星と波と太陽で、時刻と場所を浮き彫りにするその能力は、日頃の些細な目の前の出来事に右往左往して振り回されている私のような陸人と比べ、有能になるのは、当たり前のことである。

 360度、身を翻し、海上自衛隊の若者たちが未来の日本に向かって、船に乗り込んでいく。