DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2012.03.26

第15号 月刊「美楽」2012-4月号

『代掻きの頃』
肩幅もないぬかるんだあぜ道を、僕はよろけながら急いでいる。
朝目覚めたら、もう父さんは畑仕事に出掛けていた。
太陽よりも、鶏よりも、アマガエルよりも、霜柱が雫になるように、寝坊した僕は罪滅ぼしにお昼ご飯のおにぎりを届ける。

途中、振り向くと重たい魔法瓶を持った妹が泣きべそをかいていた。