DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2011.09.20

第27号 月刊「美楽」10月号

『猫の三毛』
 曲がりくねった海沿いの道を、一日にほんの数本のバスが走っている。軽油の匂いを潮風がどこかに運んでいく。 
 さっきから、バス停の前に佇んでいる少年は、何の夢をみているのであろう。隣の町から迷子になってやってきた犬も、このバス停にくるといつもクンクンと鼻を鳴らしてないている。
 帰り道を探しているのを少年は気がつかなかった。
 電信柱の影が夕焼けに向かってずんずん長くなる秋の夕暮れ。