DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2011.09.13

第26号 上田正樹さんの”声(たましい)” 

 上田正樹氏が、会社に来ると、風が吹く。関西の風でもなく、ミシシッピーの匂いでもなく、上田さんの風が吹く。

 その風は、生き様や魂を、メロディーの載せて、詩に変えて、声に焼きつけて吹いている。貿易風のようでもあり、稲妻のようでもあり、突風のようでもあり、タンポポをのせた春の季節風でもある。

 風には、力がある、風には、向きがある。風には、重量がある。風には色がある。そして、風には思想がある。

 上田さんと、日本らしい風を、吹かせようと思っている。「大和風」。
その風が、日本全国の、山や、丘や、谷を吹きぬけて、川を過ぎて海を渡り、空に抜ける。雲になり、雪になり、雨にように、心に落ちる。

 そんな日が、来るような、胸騒ぎがする。

この日は、農林水産省の食堂の横の、会議室で、ミニコンサート。
彼の声は、風のように、場所を選ばないし、人を選ばない。
 音楽とは、そういうものなんだと、思う。