DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2010.06.20

第28号 月刊「美楽」7月号

『すいかのお面』

 春夏秋冬、それぞれの季節には、二つ三つの代表的な果物がある。しかし、夏といえば、断然西瓜と決まっている。
果肉の赤が、その存在感を主張しているのか、それとも、その圧倒的な容積の大きさと重量のせいなのか?

 入道雲が開花した西瓜畑で、大の字になると、秋の気配さえ感じない。雨の匂いもしない。燦燦とただ午後の日光が体に、染み込んでいく。
生暖かい果肉の中に、“がぶり”と顔を突っ込み、口の中の種を雲に向かってプット飛ばした。
「一つ、二つ、三つ・・・・」


 冷蔵庫が登場して以来、西瓜を切って、冷やして食べる人が多い。体は、冷えるだろうが、西瓜の本来の味は、消えうせている気がする。