DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2009.04.25

第12号 友部正人の「ジュークボックスに住む詩人」

友部正人のジュークボックスに住む詩人・・・・に出会った。神田神保町で歯医者さんの待ち時間があると、古本屋さんを廻る。古い雑誌を捲り、店主のおじさんと世間話をし、最後に詩のコーナーに立ちよる。 

 18歳の頃、名古屋の栄公園で、毎週土曜日のフォーク集会が開かれていた。何百、時には何千の学生が、そこに参加することで”生きる自分”を探していた。友部さんは、地べたに座り、怖いほど鋭い表情をギターにぶつけボブディランを歌っていた。
 僕は、音楽はしていたものの、”そのフォーク集団”の中には、入らなかった。入れなかったのは、少し年下のせいもあって、気後れしていたのだ。

 歯の治療を終えて、思い出したように、アマゾンを開き友部さんのCDや、本を探した。
 あの、心をそのまま言葉にした友部さんの詩集やエッセイが販売されていた。2日後に、松田優作やブレッド アンド バターと一緒に本が届いた。

 ビニール袋を空けた瞬間に、1972年の栄公園の芝生の匂いがした。

 「アマゾンは、いつも”思い出”のパンフレット」