DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2006.12.10

第45号「銀杏の穴」

 事務所の代わりにお邪魔している東京プリンスの本館から、プリンスタワー新館まで歩いて7、8分。日比谷通り沿いの芝公園の一角を遠回りしながら散歩していると、UVサングラスをかけているように、空全体が黄色い。銀杏の落ち葉に覆い隠されてしまった枯芝の上に午後の太陽が反射して、まるで金の粉をかけられたように公園全体がピカピカと光っている。

 ここ数年、これほどの黄金に輝いた冬は記憶に無い。落ち葉はそれぞれの葉が一枚一枚個性を持って、色も異なれば地面に散るタイミングも違うし、よく見ると葉の厚さも大きさも異なる。
ところが今年の落葉は、まるで機械仕掛けの様に組織的で一貫性もあり、まるで全員が北朝鮮の誰かの指導者のもとに演じられる軍隊の行進のように乱れがない。

 今年も色々な会社とめぐり逢い、人と話し、仕事もほどほどに恵まれた年だった。ただ個人的な反省として、この日の落ち葉のような大胆で思い切りの良い集合的な企画は生まれなかったように思う。

 公園の芝生に落ちた葉っぱを2,3枚拾って見ると、どの1枚にも小さな虫に食われた傷穴があった。

 やはり大雑把に仕事をすることで、お客様に嫌な思いをさせるより、どんなに小さな仕事も、不本意なミスが無かった事を良しとしよう。

 「大きな夢より、小さな実績!」東