DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2006.06.14

第27号「亀田弁当の試食会」

 弁当の発売まで残り後20日。
最後の試食会は亀田史郎代表(亀田3兄弟お父さん)と興毅くんにパッケージデザインのチェック、食材のチェック、味のチェック、色味のチェックをしてもらうことになり、世界戦直前の合宿中の伊豆下田のある海岸を訪れた。
三兄弟は父親の史郎さんが独自に作った、砂浜や、海辺を利用したトレーニングメニューを、黙々とこなしていた。

 この日の関東地方を異常なほどの暑気が覆い、灼熱の浜辺はとっくに40度に達していた。

 「おいしそうなお弁当が並んでいますね。この納豆そばは、ほんまに体にいいんですよ。」
まだ背中に砂のついた興毅くんはそう言いながら、机に並べられた10数品目の試食メニューを少しずつ口に運んでいる。

 一方で次男坊の大毅君や、三男の和毅君も参加して和気あいあいの亀田家の晩餐会になった。

 ボクサーは、3つの敵と戦っている。一つは、対戦相手との殴り合い、二つ目は生活の中で自ら持つ欲求をどうセーブするかの自己管理、3つ目はまさに減量との戦いでもある食欲との戦い。

 試食会の弁当を、さわやかに、元気にパクつく姿をみて、普通の父親ならばただそれを満足げに眺めるので済むのだろうが、この父親の鋭利な眼差しは普通の親では滅多見られない“深いやさしさ”に満ちている。

「岸壁から、空に舞う寸前のひな鳥を、親鳥はどんなに嬉しく逞しく、そして悲しく思うのだろう」東