DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2006.05.20

第23号「レインボーブリッジに虹が架かった」

 レインボーブリッジに虹が架かった。その虹を見るためにレインボーブリッジが渋滞をしている。
私だけでなく東京の空に虹を見るなどという偶然は、ほとんどの人が考えてもいなかったはずだ。

 初夏の激しい五月雨の後、高尾山の裏側に沈む夕焼けの橙色の反射光と、東シナ海の西風で押し流されるように早足で太平洋に向かう鱗雲の真ん中に現れた虹は、小学生が使う分度器で計ったように正確な円弧を描いている。

 人は一体生きている間に、何度虹を見るのだろう。

 以前訪れたフィリピンのプエルト・アズ―ルで、丁度同じ夕暮れ時に虹を見たことがあった。3本目のダイビングをしてボートの上で大の字になってゴーグルを外したとき、酸素が欠乏していることもあって虹が緑一色に見えた。

 虹は地球上のあちらこちらの場所で出没し、一色の場合もあれば七色の場合もある。子供たちの虹の絵を見ると七色になっているが、気象学的にいうと、七色のクレヨンが必要なのは恵まれたことに、この日本や一部の地域だけで、普通は4から5色しか見えない様ある。

 でも彼らの、将来の描くの画用紙の上には、ばら色のクレヨンがなかなか見つからないようだ。