DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2003.01.14

1月14日(火)あちこちで在庫切れのモンクレアの白いダウンベストを、BEAMSで発見、大騒ぎで購入、部屋で広げて見たが確かに本物はいい

 中に入っている水鳥の良質の羽が、このところ急に冷えこんだ東京の寒気から鉄壁に身を守ってくれるだろう。


 本物といえば、この連休を利用して久しぶりに並木通りを歩いてみた。「ブランド・ショップ」が早くも冬物のバーゲンを始めていた。現在のデフレ景気では、商品にいつ見切りをつけるのかが難しい判断であろう。まだ寒さが続きそうだ・・・・・もう少し今の定価でいけるだろう・・・・・などと女々しく迷っていると必ず売れ残る。このような日和見主観的な経営者の店舗営業には、マーケットの動きの素早さが計算されていないばかりでなく、お隣のコンペチターの動向がまったく不在。店頭のポスターの貼り方にもどこか優柔不断な弱気が覗いている。


 今のデフレ時代の消費者は、“裏の裏を読んで、買い物をするのを”楽しんでいる。売る側が苦しみながら売価を割り始めた頃に、どこの店が一番弱っているのかをしっかり見極めたうえで、さらに相手のマージンを想定しながら購入する。関西のよう客の様に面と向かって「おじさん、もっとまかるやろ・・・。」
などと健康的に表面からやり取りするのでなく、死を待つ蟻のように静かにウィンドゥの前で値札が赤くなるのを待つのが東京の客なのだ。


 銀座通りを4丁目にむかい久しぶりに「天賞堂」に時計を見に行った。この上品で風格に溢れた店は創業123年(1879年)になる。ブレゲ、パティック、ブランパンなどのブランドが並んだショーケースを見ていると、いつになったらこの国の消費者の“外国カブレ”は納まるのだろうと考え込んでしまった。
政府が円安政策を打ち出すことで輸入品が高騰しても“カタカナ生まれ、カタカナ育ちの魅力”は永遠に続くのであろう。この舶来びいきは外国の政治家ファンから、音楽(芸術)、食い物、保険制度、金融システムにまで及んでいる。


 「天賞堂」が昨年発表したNEWモデルは複雑な機能といい、精密なフォルムといい、美しいデザインといい、日本人の商品開発力の凄さを感じる。


 昼食に鮨を摘まもうと足を築地に向けた。日産本社のショールームに新型のスカイラインとフェアレディZが飾ってある。この商品も戦後の日本人の技術力を結集したようで、誇らしい時代の代表選手だ。しかし・・・・・・そう言えばこの会社の代表もカタカナの外国産であった。