DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2002.06.09

6月9日(日)7万人を越す観衆の喜びの声が津波のように何度も聞こえてくる

「ニッポン・チャチャチャ・・・・・・・」。試合終了を待たずに横浜国際競技場を後にしてタクシーに飛び乗った。良くタクシーが拾えたものだと思う。
運転手が「良くやりましたね。後半は攻められっぱなしで、ヒヤヒヤしましたよ。何だっけ、あの選手やりますよね」「稲本選手でしょう。運がありますね」
第三京浜が奇跡的に空いていて芝公園のホテルまで40分で着いた。部屋に帰ってTVをつけると、右腕を天に掲げた稲本君のゴールシーンを何度も流している。さっきまで試合会場にいてどきどきしながら観戦していたのが嘘の様だ。何故僕はこんなに冷めているんだろう。シャワーを浴びて、窓を開けると生ぬるい風とともに1匹の蚊が舞い込んだ。いつのまにか日本列島の温度が上がり始めている。夏は確かに来ているのだが、そんな季節感など感じられないほど現実的な時間を1億人が過ごしている。勝つか負けるかという明確な結果の前にこれほど一喜一憂するパワーがこの国に残っていたなんて。