COLUMN:日刊ゲンダイ「数字のホンネ」

 

2008.08.11

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第71号 メダル獲得と経済の関係  『日本の金メダル114個』

 いよいよ北京オリンピックが始まった。開催国・中国と日本のメダル獲得数に関心が集まるが、それだけではない。五輪でのメダル獲得数は国家の経済状態を反映するといわれるだけに、躍進著しいアジア各国と景気失速のアメリカの対比にも注目したい。

 現在、オリンピックは28競技、302種目である。ちなみに日本は、前回のアテネ大会で久しぶりに16個という、東京オリンピック以来の金メダルを獲得した。今回は、米国の金メダルの数を中国が上回るようなことになるのであろう。

 日本は1912年からオリンピックに参加しているが、今までに獲得したメダルの総数(夏季)は何個なのだろう。その答えは金が114個、銀が106個、銅が115個、つまり、延べで335人しかメダリストが誕生していないことになる。

 ちなみに、20年のベルギー(アントワープ)大会での、テニスの熊谷一弥と柏尾誠一郎が初の日本人メダリストである。
日本に初の金メダルをもたらしたのは28年アムステルダム大会、三段跳びの織田幹雄と200メートル平泳ぎの鶴田義行であり、水泳王国ニッポンの伝統はこの後、ロサンゼルス大会、ベルリン大会と引き継がれる。

 バブルが崩壊した直後の92年、バルセロナ大会では金がわずかに3個、次のアトランタ大会でも3個と、やはり国の経済状態とメダル数は何らかの相関関係があるといってもいいのではなかろうか。となると今年の北京オリンピックと次回のロンドン大会は、現在の資源高、原油高、さらにサブプライムショックを考えると、せいぜい1ケタ。それも幼少期から指導教育を徹底して行われる柔道、レスリングをはじめとした個人競技にしか期待が持てないかもしれない。

 2016年には東京に誘致するという話があるが、高齢化社会の真っただ中に突入する時代に1964年並みのメダル数は悲しいかな不可能だろう。
五輪景気で国を活性化させるというのも長期的な視点においては、暴挙と思えて仕方がない。


2008年8月12日号