COLUMN:日刊ゲンダイ「数字のホンネ」

 

2008.06.23

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第65号 バリエーションの広がりに期待 『アウトレットモールの売り上げ5000億円』

 原油高で一般庶民の生活が苦しくなるばかりの時代にあって、アウトレットモールがブームになっている。ブランド品を格安で販売するアウトレットモールの市場規模はどんどん膨れ上がり、2008年はいよいよ5000億円に届こうとしている。北海道から沖縄まで、全国に約30のアウトレットモールがある。仙台ではこの秋に2つのモールが開業予定で、早くも競争激化が囁かれているほどだ。

 ひと昔前はアウトレットモールというと、キズ物があったり新古品といわれるものばかりで、商品の質がイマイチだったが、最近は模様変わり。アウトレット専用商品や正規販売店で売れ行きが鈍った商品がすぐに並んだりと、商品力がグッとアップしているのだ。

 4月には三井不動産が運営する「三井アウトレットパーク入間」がオープン。初日にはなんと4万人近くの客が押し寄せた。アウトレットの本場・米国では、モール数が約300といわれている。
人口も面積も違うが、約30の日本ではまだまだ増えそうな雰囲気だ。
これまでは高速道路のインターチェンジに近い郊外型、地方型が主流だったが、今後はおそらく大都市圏のど真ん中にも出現してくるのではなかろうか。

 加えて、ネットによるセカンドユースの販売や口コミの販売や直接輸入ものの商品のディスカウント等の流通ルートを考えると、アウトレットモールは百貨店のマーケットを脅かす存在にまで発展するであろう。ブランド品だけでなくクルマや薬や輸入物の食料品、書籍など商品別にアウトレットッモールが出現すると、われわれ消費者の生活も少しは楽で楽しみになるかもしれない。アウトレットモールのバリエーション、扱い商品の多様化を期待したい。


2008年6月24日号