COLUMN:日刊ゲンダイ「数字のホンネ」

 

2008.03.18

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第52号 ネット利用者は常に被害の恐れ 『不正アクセス認知件数1818件』

 耳慣れない言葉ではあるが、平成12年2月に施行された不正アクセス禁止法。IDやパスワードなどの不正な使用やその他の攻撃によってアクセス権限のないコンピューター資源へのアクセスを行うことを犯罪とした法律である。そもそもこの法律自体が施行されて数年間経っており、ドッグイヤー的にいえば、数十年前の法律ともいえるほど老廃化している。

 不正アクセス行為の認知件数は年々増加している。警察庁によると、平成17年に592件であった不正アクセス行為の認知件数が平成18年には946件、昨年は1818件と、ここ数年倍増に近い数値を重ねている。

 不正アクセス後の犯罪行為で最も多いのはインターネットオークションの不正操作件数。平成18年の593件から昨年は1347件。次いでオンラインゲームの不正操作が246件。インターネットバンキングの不正送金は前年の39件から113件と急増。水面下の数をカウントすれば、おそらくこの数倍の不正アクセスが行われているともいわれている。

 これはそもそもハッカーによるハッキング犯罪であるが、その定義は他人のID、パスワードを盗み取り、その者になりすましてアクセスを認知する高度な犯罪である。認証サーバーをだまし、そのシステム内にある端末を不正に利用するなど、高度に学習をした犯人によるものである。

 不正アクセス禁止法によると、罰則規定は1年以下の懲役または50万円以下の罰金と極めて軽い。一家に1台パソコン、1人1台携帯電話の時代になっている今日、ハッカー等の犯罪者とそれを利用する一般庶民の知識の差は、大人と乳幼児ほどの開きがある。パソコンや携帯電話などのメーカー側でよほどのセーフティネットされたものが販売されない限り、インターネットに手を出した瞬間にハッカーのターゲットになるというケースは今後とも増加するのであろう。

 警視庁では平成12年にハイテク犯罪対策総合センターを設立し、優秀な技能者を数千人採用しているが、不正アクセス犯とのイタチごっこは終わりそうにない。


2008年3月18日号