COLUMN:日刊ゲンダイ「数字のホンネ」

 

2008.02.05

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第47号 米クリスマスセール同様の巨大なニューイヤーマケット 『小中学生のお年玉2500億円』

 萎縮する日本経済の中で、無視できないマーケットがある。
お年玉の“市場規模”だ。

 小学館が昨年、小学生に実施した調査によると、別居している祖父母からもらったお年玉の金額は平均約1万1500円。その他の親戚からは約1万9000円。ちなみに隣近所の人からは約3300円で、それ以外の知り合いから約5500円と大変な臨時収入となっている。

 調査を始めた2003年と比べると、祖父母や親戚は600〜900円増、一方、隣近所の人に関しては800〜900円ほど少なくなっている。また、もらったお年玉の総額は平均2万5300円で、2003年より1500円も増えている。

 少子高齢化を境に悩ましい問題もいくつか抱えている。例えば、自分の家には子供がいないが、3人の子供を持つ友人がお正月に遊びに来たとしよう。正直に言って金銭的にも負担だし、先方からのお返しもない。こうした場合のお年玉に関するマナーについても、儀礼的なものなのか、義務的なものなのか、子供の権利なのか、はっきりとしたルールはない。さらに1、2歳児などのプレゼントやお年玉のありがたみがわからない子供たちにはどう対応していいかも難しい問題である。

 さて、もし1人が平均2万円のお年玉をもらっていると仮定すると、小中学生のお年玉市場は2500億円もの市場となる。このお年玉の大半は一体全体何に使われるのであろうか。オモチャや洋服、あるいはゲームセンターなどの遊興費だと仮定すると、アメリカのクリスマスセールと同様に、実は想像以上に大きなニューイヤーマーケットが存在していることとなる。

 お年玉をあげることが必ずしも義務でないとするならば、子供たちに読んでほしい本をプレゼントしたり、見てほしい映画のチケットをプレゼントしたりして、大人たちから子供たちへ金銭感覚より、文化感覚をプレゼントするのもひとつの知恵ではなかろうか。


2008年2月5日号