COLUMN:日刊ゲンダイ「数字のホンネ」

 

2007.11.13

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第38号 中国文化の浸透 『中国語教育市場37億5000万円』

 2008年の北京オリンピック開催を控え、日本国内で中国語学習ブームが再燃している。日本の語学教育の市場規模は、2006年度に対前年比5億円マイナスの8126億円。このうち、なんと99%以上が英語。市場の2位は中国語の37億5000万円だった。全体の市場規模が微減の中で、中国語のみ増加。おそらく2010年には、50億円を突破するだろう。

 授業に中国語を取り入れた私立校や幼稚園も増えている。さいたま市の淑徳与野中学校は、3年前の開校時から課外授業の一環として中国語を必須科目に指定した。

 高知県の明徳義塾中学校・高等学校は、小学生を対象に外国語暗唱大会を行ったが、その中で10人以上の小学生が中国語の課題で応募した。高知市内には中国語を授業に取り入れている公立の小中学校があり、日本の中では最もすすんで中国語を取り入れているといえよう。

 一時、アメリカ・コンプレックスからか、子弟をアメリカンスクールに入れバイリンガルに育て、ひいてはアメリカの大学に進学させるという風潮があった。最近は、中華学校に入学を希望する日本人が増えている。東京・千代田区にある東京中華学校にも、日本人の入学希望者が集まり大人気。小学校から高校まで全体280人のうち、なんと約3分の2が日本国籍である。

 言語習得は、ただ単にランゲージ・バリアを取り除くだけでなく、言葉に合わせて文化や習慣も身に付く点で重要である。健全な形の国際化は社会に広がりをもたらす。その意味では、若者層への中国文化の浸透は結構なこと。

 ただ、その一方で日本文化を積極的に広める努力も必要だろう。日本の教育機関は、学費だけでなく生活費等も面倒をみて、日本語を学ぶ各国の学生を積極的に招いたらどうか。


2007年11月13日号