COLUMN:日刊ゲンダイ「数字のホンネ」

 

2007.08.07

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第27号 9年連続3万人超の現実 『自殺者数3万2155人/年間』

 1998年に年間の自殺者数が3万人をを超え、その後も高い数字が続いている。06年は3万2155人。9年連続で3万人を超えてしまった。

 自殺の動機としては、健康上の理由、経済・生活問題、家庭問題の3つが上位を占めている。最近は小学生や中学生の自殺が増加、20代、30代のネット自殺も社会問題化している。

 わが国の自殺死亡率はとても先進国とはいえない高い数字にあり、先進諸国ではロシアに次いで第2位だ。  

 06年度における自殺者の概要をみると、19歳以下が623人、20歳代が3395人、30歳代4497人、40歳代5008人、50歳代7246人、60歳以上1万1120人と、高齢化につれて増えているのが分かる。

 世代別に自殺の特徴をみると、中高年は経済問題や健康問題。うつ病や不眠症などの病を患い、周辺に相談せずに自殺する人が多い。青少年の特徴は、大人に比べ自殺未遂者が多い点だ。進学や健康、人間関係などの理由から衝動的に自殺の道を選ぶケースが多い。

 注目したいのが職業別の人数。「無職者」が全体の47.9%、1万5412人にも達する。「有職者」が38.4%だから、10ポイント近くも多い。雇用環境の厳しさが自殺に結びついていると思われる。

 もう一点、見落としてならないのが遺書の有無。遺書を残した人が1万466人であるのに対し、遺書なしが2万1689人と倍以上なのだ。
衝動的に命を絶ってしまっているということか。

 9月10日から9月16日は自殺予防週間。内閣府は自殺対策推進室を設け、事細かにデータを分析し、マニュアルを作成している。しかし、政府レベルの対応では、流れを食い止めることは期待薄。それはこれまでの取り組みをみれば明らかだ。

 残された人々の苦痛は想像を絶するものがある。政治や行政に期待できないのなら、民間で有効な対策を打ち出すしかない。


2007年8月7日号