COLUMN:日刊ゲンダイ「数字のホンネ」

 

2007.07.24

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第25号 社会的損失の拡大を防げ! 『携帯電話リサイクル回収台数662万台』

 2006年度の携帯電話の販売実績は4726万台(ガートナージャパン調べ)。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクをはじめ、通信各社は色、デザイン、機能はもちろんのこと、最近ではシルバー携帯やキッズ携帯まで買い替え需要マーケットの拡大に必死である。

 一方で、携帯電話機のリサイクルの実績は年々低下しているのが実情だ。ちなみに2006年度の回収台数は本体662万台、電池が347万台。00年度の回収台数1360万台と比べ、回収台数が激減している。

 この携帯電話のリサイクルを阻んでいるいちばんの原因は、「電話帳として残しておきたい」、あるいは「思い出のコレクション」などのデータ保存だ。

 第2位の理由は個人情報の漏洩問題である。ネプロジャパン及びネプロアイティの調べによると、リサイクルをしないと答えた人のうち、男性の38%、女性の62%が、携帯からの情報漏洩を意識している。

 メール機能やカメラ機能の充実、さらには動画等々の搭載により、個人情報の蓄積は飛躍的に増加している。当然、これを守ろうとする意識が強くなれば、回収率の低下に拍車がかかるのは歴然だ。

 写真などはSDカードなどの記録媒体に保存して、本体の物は削除すればいい。電話番号、メールアドレスなどの個人データは、買い替え時に新しい携帯にデータを移し、本体内のデータはすべて削除する。
「それでも個人情報の流出がご心配のお客さまには、携帯本体を粉砕するサービスもあります」(大手携帯会社)

 利用客のちょっとした意識改革で、リサイクル率を高めることは可能なのだ。
4700万台中4000万台が机の中にしまい込まれ、天然資源の回収が遅れることの社会的損失を考えるべきだろう。


2007年7月24号