COLUMN:日刊ゲンダイ「数字のホンネ」

 

2007.04.17

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第13号 クルマ離れ深刻 『新車販売358万台』

 クルマ離れが深刻だ。日本自動車販売協会連合会が発表した06年度の国内新車販売台数(軽自動車を除く)は、前年度より8%強減って約358万台となり、4年連続で前年度比マイナスとなった。ピーク時の90年度に比べ231万台もの減少だ。

 中古車も売れない。
06年度の登録台数は17年ぶりに500万台を割り込んだ。頼みの軽自動車も07年度は2%以上の減少になるとみられている。

 実は、都内に住む私の友人もこの春、長年乗ってきたジープ・チェロキーを手放した。
「子供もいないし、ホント乗らなくなった。維持費、ガソリン代を考えると年間50万円以上かかる。もったいないから売っちゃいましたよ」

 彼の言葉の中に、クルマ離れの一因がある。コスト高である。
税金、保険、ガソリン代、駐車場代、高速代。都会生活では、クルマを持つことは、家計のリスク要因になっているのだ。

 もちろん、それだけではない。渋滞、飲酒運転取り締まり強化、駐車違反取り締まり強化など、クルマを取り巻く環境の変化も見逃せない。

 だが、最大の要因はなんといっても、魅力がなくなったことではないか。メーカーがどれだけ新車を投入しても、その販売効果は長続きしない。SUVがはやれば、各メーカーこぞって同じようなラインアップをそろえてくるから、とんがったクルマが出てこない。
慣れ親しんできたクルマが生産中止になって、知らない車名が氾濫しているメーカーもある。これでは販売店に足を運ぶ気にもならない。

 一方で、「若者たちを中心に関心がケータイやパソコン、AV機器などに移ってしまい、高額商品のクルマが見向きされなくなってきている」(知人のコンサルタント)という分析もある。
「週末はカノジョとドライブ」という時代ではなくなってきているのだ。

 ユーザーの関心を引き付ける魅力あるクルマづくり、画期的なカーライフの提案、これらをメーカーが行わなければ、クルマ離れは止まらない。
その結果、輸出、現地生産依存に拍車がかかり、国内生産、雇用に暗雲が立ち込めることになる。


2007年4月17日号