COLUMN:日刊ゲンダイ「数字のホンネ」

 

2007.03.13

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第8号 学力低下の深刻 『日本の学習到達度数学6位 読解力14位』

 ここ数年、子供たちの学力低下が深刻化している。それが顕著にあらわれたのが、経済協力開発機構(OECD)が2003年に実施した、学習到達度調査の結果である。
41カ国の計27万6000人の15歳を対象にしたものだ。

 2000年調査では、8位だった読解力の順位が、平均以下の14位に低下。数学(応用力)は前回の1位から6位に転落した。この現状に文部科学省も「日本の学力は今や世界のトップレベルとはいえない」と発表している。

 ちなみに数学は香港のトップに続いて、2位フィンランド、3位韓国となり、読解力は1位がフィンランドで以下、韓国、カナダ、オーストラリアと続いている。

 この調査をみる限りにおいては、フィンランドと韓国は世界的にトップレベルの学力を持った学生を育てているといえる。読解力は文章や図表を理解して利用し、考える能力のテストのようだが、このテストに必要なのは、創造力と分析力であり、いかに現在の丸暗記授業が無意味かということを象徴することにもなる。

 同時に行ったアンケートで、数学の授業が楽しみか、内容に興味があるか、という質問項目のすべてにおいて、日本の生徒は平均以下の回答となっている。学問が日常的にどう必要となるかという視点の欠落した詰め込み授業の結果といえるのではないか。

 また、学校の授業以外の勉強時間もOECDの平均が週8.9時間であるのに対し、6.5時間と30%もダウンしている。
これらの結果から想像できるのは偏差値を重視した詰め込み型の授業が、生徒の学習意欲を低下させるだけでなく、自発性を奪い、さらに社会人になってからも知識の応用の利かない人材を輩出してしまうという現状にほかならない。

 今日の「美しい日本づくり」に必要な学習とは将来を予測したり、危険を察知したり、人の痛みを理解する、そんな感性を持った子供たちの育成ではなかろうか。


2007年3月13日号