COLUMN:日刊ゲンダイ「数字のホンネ」

 

2007.02.20

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第5号 近視国家の到来 『中学生視力1.0未満5割超』

 子供たちの裸眼視力が年を追うごとに低下している。

 文部科学省の「学校保健統計調査速報」(平成18年度)によると、子供たちの裸眼視力の低下が著しい。特に幼稚園、小学校、中学校、肉体的に成長期を迎える4歳から15歳までの子供たちだ。

 平成8年度、裸眼視力が1.0未満の幼稚園児は21.4%だった。それが10年後の平成18年度には24.0%に増加している。小学生は25.8%が27.2%。中学生の場合は49.8%が50.1%。
近視の生徒が中学生全体の5割を超えてしまったのだ。

 高校生に至っては58.7%が裸眼視力1・0未満。
このままでは、メガネっ子ばかりの近視国家になってしまう。

 この問題についてはいろいろと要因があると思うが、テレビあるいはパソコン、携帯電話などの「発光体メディア」に対する学校と親、社会の無防備な姿勢が最大の原因ではなかろうか。
どのチャンネルを回しても同じようなタレントが登場し、瞬間的な笑いを取るだけのバラエティー番組があふれかえっている。
それを無批判に受け入れてしまう子供たち。いや、親も一緒か。

 一家に1台だったパソコンがパーソナルメディアと化し、子供部屋に1台ずつ置かれ、親の目を盗んでゲームや猥褻なインターネットに時間を割く子供たちも増えている。
電車の中ではケータイのメールチェックと携帯ゲーム機に夢中になる。

 こんな状況が毎日繰り返されているのだから、視力が低下するのは当然だ。子供たちの視力低下は、社会的な警鐘として受け止めなければならない。パソコンをはじめとしたITメディアの副作用に対する無関心を放置していたら、子供たちはますます危険な状況に追い込まれていく。


2007年2月20号