COLUMN:日刊ゲンダイ「数字のホンネ」

 

2007.02.06

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第4号 「癒やし」ペットブーム 『犬・猫2500万匹』

 懐かしの映画「名犬ラッシー」のリメーク、ペット住居OKのマンション、ペット連れ込み可のカフェレストラン・・・・・・。
空前のペットブームが続いている。一時期人気だったゴールデンレトリバーなどの大型犬だけでなく、最近映画ではやった豚まで、日本は世界有数のペット大国である。

 ペットフード工業会による犬猫飼育調査(2006年度)によると、家庭におけるペットの飼育率は、犬が19.2%、猫が14.7%。飼育頭数は犬が約1209万頭、猫が約1246万頭。2種類合わせると何と2500万頭近く。その8割以上が室内で飼われている。

 ペット関連市場の07年売り上げ予測は3842億円(富士経済調べ)で、このうちペットフードの売り上げは3000億円市場に届こうとしている。この数字は、急拡大しているインターネットの広告収入の規模を上回るものだ。

 このペットブームの背景に何があるのか。
ドッグ・アイテムのブランドショップ、株式会社デザインエフを経営している大谷香奈子氏に話を聞いたら、格差社会の影響で「寂しい日本人が増えているのよ。好きだから飼うっていう時代じゃないのよね。」と不思議がっていた。
実際、飼い主の飼育意向理由の調査の結果は、犬の場合「癒されそうだから」との答えは約6割に達している。猫好きの飼育理由も同様だ。

 現代は依存症の時代である。携帯電話に依存し、パソコンの情報に翻弄され、格差社会で過酷な競争を余儀なくされ、会社で学校でコミュニティーでいじめられ、疲れ切った体で帰宅して犬や猫の頭を撫でる。こうした日常の中で、私たちはどこで自分を取り戻すことができるのであろうか。
犬や猫を抱きかかえる事だけでは解決しないと思うのだが。


2007年2月6日号