COLUMN:日刊ゲンダイ「数字のホンネ」

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2008.04.14

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第56号 喫煙者減少し、税収大幅アップ 『たばこ1箱1000円時代到来』

 またもや愛煙家にとって酷な話ではあるが、どうやら、たばこは数年後に「1箱1000円」時代を超えそうな気配になってきた。そんな状況になると、まず若者がたばこを買えなくなる。高齢者も同様だ。

 日本学術会議のシュミレーションでは、現在1箱当たり189円のたばこ税を300円引き上げた場合、喫煙者は約300万人減り、3300万人強になる。たばこの消費量も2700億本から1910億本に。

 一方で、税収は大幅にアップする。年間2.24兆円(2005年)が4.29兆円になる。2兆円を超す税収増が見込める計算である。

 京都大学大学院経済学研究科が昨年発表した喫煙に関するアンケート調査では、もしたばこの値段が1000円になった場合、9割以上が禁煙をするという結果もある。
J−CASTニュースによると「本数は減ると思うが、たぶん大事に吸う」「1000円になって禁煙した、というのは貧乏くさくてカッコ悪いから、なる前にやめる」「最初は減ると思うが、すぐに元に戻ると思う。しかし、もったいないから根っこまで吸ってしまい、健康を害するのではないか」など意見はまちまち。

 世界に目を向けてみると、ほとんどの先進国でたばこの価格は日本の2倍から3倍である。例えば、ニューヨークでは1箱あたり約800円。イギリスでは1100円、フランスでは850円、ドイツでは710円、イタリア、スイスではちょっと安くて520〜560円。いずれにしても大変な高額商品となっている。

 日本国家としては税収は大幅に増えるし、国民の健康も保護できるという観点からすぐにでもたばこの値上げをしたいところではあろうが、政治家にもいろいろと都合があろうかと思う。

 ちなみに私も喫煙者であるが、さすがに1箱1000円になると月3万円から5万円、なんと年間50万円程度の出費になる。こうなってくるとたばこを吸うか海外旅行に2回行くかという選択になるので、結論としては・・・・・・パイプに替えるかもしれない。


2008年4月15日号


2008.04.07

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第55号 携帯コミュニケーションの弊害 『デートDV 被害者13%,加害者12%』

 「DVを考える若者フォーラムinちば」が昨年、千葉県内の大学生881人を対象にデートDV(ドメスティックバイオレンス)の実態調査を行った。

 この調査によると、交際経験のある648人中、加害経験が79人(12%)、被害経験が86人(13%)となっている。加害の内容は「はたく」31件、「モノにあたる」21件など。性行為を迫られて嫌だといえなかった女性も74人いる(ちなみに男性は24人)。
ほとんどの被害者は2人の問題だからとか、我慢すればよいと思ったと、相談しないで泣き寝入りするケースが多い。

 一方で、内閣府が昨年行ったインターネット調査でも(10代から20代の未婚の男女対象、男性128人、女性130人)男性42%、女性25%が、いつも気を使わされ、束縛されたり強制行為を経験したと答えている。特に「別れたら死ぬ」「家に火をつける」などの脅迫は女性5%、男性4%が経験している。

 このデートDV増加の大きな要因のひとつは携帯電話ではなかろうか。
携帯電話が男女間の支配者意識を助長しているのだ。今回の内閣府の調査でも「電話に出なかったり、メールにすぐ返信しないと怒られた」というのは男性45%、女性32%が経験。さらには全体の4%の女性は専用の携帯電話を持たされていたという。

 携帯電話を通した2人の関係で何を強要されているのだろうか。服や髪形などの好みを押し付ける。感情の起伏が激しく突然怒りだす。手をつないだり腕を組んだり日常的にいつも体を触れている。これなどは携帯電話での2人の距離感と実際に出会っている時の意識の揺れを生んでいるのであろう。
バーチャルとリアルの生んでいる問題のようにも思える。つまり、携帯電話の頻度と実際に出会う頻度のギャップがDVを生むといえるのではないのだろうか。

 そういえば、一昔前は付き合っている対象者以外の異性とコミュニケーションを取るのは手紙か公衆電話くらいのもので、携帯電話は一見、コミュニケーションツールとしては便利だが、男女の関係においては複雑なシチュエーションを提供しているツールにもなるということだ。


2008年4月8日号


2008.04.01

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第54号 ヒカリモノが激減! 『2006年関サバ漁獲量99トン』

 このままだと回転寿司のマグロが1皿1000円を超えてしまう、と知人の寿司屋が嘆いている。マグロだけではない。今年は大分県佐賀関で水揚げされる高級魚、関サバの漁獲も激減している。いうまでもなく、地球温暖化の影響である。

 「今のままではマグロだけでなく、サバもイワシもサンマも、このエリアでは幻の魚になってしまう」(関係者)と危ぶむ声も出始めている。

 本来、関サバの漁期は秋から春先までだが、この冬の海水温が上昇したため、関サバそのものが回遊しなくなったという。2003年度に241トンあった漁獲量は、2006年度には99トンと大激減、2007年度はさらに下回るという。

 問題なのは、魚が減れば漁師も減るということだ。折からの原油高もあって、燃料費も出ない、魚がいないのではどんな漁師も食い上げ。佐賀関の1984年の正組合員数は648人いたのだが、現在は半減して372人。平均年齢も逆に高齢化してしまい、60〜70歳が中心となった。この現象は何も大分だけにとどまらず、日本全体の漁業の問題となってくるのは必然。

 日本周辺海域の年平均海面水温は過去100年間で1.6度上昇しているが、東北沖の太平洋や北海道の釧路市沖では逆に海水温の上昇がみられないため、今年あたりはサバがよく取れているという。例えば北海道の釧路市では以前ほとんどサバの漁獲がなかったのだが、2005年は約3400トン、2006年は約1900トンを記録し、簡単にいうと大分で泳いでいたはずのサバが北海道にすみかを変えたと考えられる。

 単に関サバの漁獲量減を海面水温の上昇だけで説明するのは、まだ結論が早いとはいうものの、いずれにしても日本全体で数百あるといわれる漁場の漁獲量の減少傾向は否めない。さらに漁師の高齢化も深刻な問題である。

 私はヒカリモノが好きで、回転寿司に入るとサバ、イワシ、コハダなどを食べているが、来年再来年と年を追うにしたがって、ヒカリモノこそが海のダイヤモンドと化す、嘆かわしい日が来るに違いない。


2008年4月1日号


2008.03.25

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第53号 シニア族にますます高まる健康志向 『フィットネスクラブ売上高2886億円』

 4月から「特定健康診査・特定保健指導」が始まる。この制度が追い風となって、日本のあらゆる会社がシニア向けの健康支援プログラムなどを始めようとしている。それにともなってフィットネス業界やスポーツ用品業界もシニア向けの営業を強く促進している。

 健康志向は強まる一方だ。昨年は「7日間集中してエクササイズすればダイエットが可能」をキャッチフレーズに「ビリーズブートキャンプ」がテレビ通販で爆発的な人気を呼んだ。映像ソフトも見る間に100万セットを売り上げたという。
ま、ブームが去るのも早かったが・・・・・・。

 1980年代のバブル時代、年間200施設が新規開業して活況を呈していたフィットネス業界は、バブルの崩壊とともに大低迷期に突入したが、十数年経って再びにぎわいをみせ始めている。

 続々と定年退職を迎えつつある団塊世代や、急速な高齢化、さらに医療費の負担などの増加を考えると、今後どんどんフィットネスクラブやスポーツクラブがシニア世代の会員を増やしていくのは明らかである。

 平成17年の経済産業省による特定サービス産業実態調査のフィットネスクラブ編では、40歳以上の個人会員数が約155万人で、総個人会員数約385万人の4割を占める。これに法人会員利用のシニア世代も加わればかなりのものになるだろう。

 経済産業省の特定サービス産業動態統計調査では、平成19年の総売上高は2886億円。いわゆるメタボリックシンドローム対策として、またストレス解消として都市型のクラブは続々と会員を増やし、いまや接待先にまでなっているという。

 私なども確実にメタボのひとりであるが、いまだにたばこも酒もやめられずにいるのは、ストレスを発散させる方法を見つけられずにいるからである。

 政治も経済も不透明感が強まっている。この先、社会不安が増せば増すほど、個人の「守り意識」から一段と健康志向が強まり、フィットネスブームに拍車がかかる。
世の中の風潮が薄っぺらな「健康至上主義」に走らなければいいが。


2008年3月25日号


2008.03.18

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第52号 ネット利用者は常に被害の恐れ 『不正アクセス認知件数1818件』

 耳慣れない言葉ではあるが、平成12年2月に施行された不正アクセス禁止法。IDやパスワードなどの不正な使用やその他の攻撃によってアクセス権限のないコンピューター資源へのアクセスを行うことを犯罪とした法律である。そもそもこの法律自体が施行されて数年間経っており、ドッグイヤー的にいえば、数十年前の法律ともいえるほど老廃化している。

 不正アクセス行為の認知件数は年々増加している。警察庁によると、平成17年に592件であった不正アクセス行為の認知件数が平成18年には946件、昨年は1818件と、ここ数年倍増に近い数値を重ねている。

 不正アクセス後の犯罪行為で最も多いのはインターネットオークションの不正操作件数。平成18年の593件から昨年は1347件。次いでオンラインゲームの不正操作が246件。インターネットバンキングの不正送金は前年の39件から113件と急増。水面下の数をカウントすれば、おそらくこの数倍の不正アクセスが行われているともいわれている。

 これはそもそもハッカーによるハッキング犯罪であるが、その定義は他人のID、パスワードを盗み取り、その者になりすましてアクセスを認知する高度な犯罪である。認証サーバーをだまし、そのシステム内にある端末を不正に利用するなど、高度に学習をした犯人によるものである。

 不正アクセス禁止法によると、罰則規定は1年以下の懲役または50万円以下の罰金と極めて軽い。一家に1台パソコン、1人1台携帯電話の時代になっている今日、ハッカー等の犯罪者とそれを利用する一般庶民の知識の差は、大人と乳幼児ほどの開きがある。パソコンや携帯電話などのメーカー側でよほどのセーフティネットされたものが販売されない限り、インターネットに手を出した瞬間にハッカーのターゲットになるというケースは今後とも増加するのであろう。

 警視庁では平成12年にハイテク犯罪対策総合センターを設立し、優秀な技能者を数千人採用しているが、不正アクセス犯とのイタチごっこは終わりそうにない。


2008年3月18日号


2008.03.11

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第51号 首長は「宣伝部長」になった方が評価される時代 『宮崎県庁観光客1カ月3万人』

 ご存じの通り、宮崎県がすごい。いったい県知事の役割というのは何なのだろうか考えさせられる。就任2年目となった宮崎県の東国原英夫知事は八面六臂の活躍ぶりだ。

 県をひとつの会社としてたとえるならば、県知事の役割は社長であり、総務部長であり経理部長であると思う方がほとんどであろう。実際、現在の宮崎県の状況は、知事イコール広報室長、あるいは宣伝部長の役割も兼ね備えている。

 たとえば、県庁によると1日平均300人から600人だった県庁見学ツアーの参加者が1000人に達している。つまり1カ月に3万人の県庁観光客が訪れることになる。
もちろん、知事のイラストなどが入った商品は昨年の5月頃から前年比5倍の売り上げで推移し、現在に至っても、このブームは尻上がりに伸びている。

 プロ野球などのキャンプで、宮崎県の来訪者が増えたため、昼間はキャンプに行き、夜は宮崎県のお土産を買うという相乗効果型のマーケットが誕生している。さらに県の観光リゾート課によると、昨年は社会人や学生を合わせて446団体が宮崎県で春季キャンプを実施し、キャンプによる経済効果だけで125億円。もうこうなってくると、巨大な宮崎デパートの誕生である。主力商品の地鶏や東国原英夫グッズ、いわゆる“そのまんま経済効果”といわれるマーケットは日本全国に勢いを広げている。

 テレビの番組表で東国原知事の名前が出ていない日を探せないほど、毎日宮崎PRのためにテレビに出ずっぱりの日々である。

 宮崎県のPR効果はいまや九州全土に及ぼうとしていて、「ANAセールス」の九州ツアーの参加者が対前年同期比110%で推移しているし、九州圏内のホテルも土曜日、日曜日は徐々に満館になっていると聞く。

 昨年、財政破綻で有名になった夕張以外にも1000に近い市町村が、財政が窮乏し破綻寸前にあって、県知事はもちろんのこと、市長、町長、村長にいたるまで、経済部長というよりは宣伝部長という役割に徹した方が、行政の責任者として評価される時代なのかも知れない。


2008年3月11日号


2008.03.04

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第50号 独身オトコよりも犬や猫がカワイイ! 『ペットを飼う独身女性「恋人が欲しい」55%』

 相変わらずペットブームが続いている。完全に把握しきれない数字も含めて、どうやら3000万匹以上の猫と犬が日本で愛玩されているらしい。

 不動産開発会社「リブラン」の研究所が昨年11月、首都圏の20歳から44歳の独身女性にインターネットで調査した結果、現在、彼氏のいない人に恋人が欲しいかどうかを聞くと、ペットを飼っている女性は約半数の55%だった。裏返せばペットを飼う女性の約半分は「ペットがいるから男はいらない」というふうにも読み取れる。
ちなみに、ペットを飼っていない女性は71%が「欲しい」だった。

 さらに、結婚を「非常にしたい」と答えたのは、ペットのいない女性で29%、ペットのいる女性は7ポイントも少ない22%だった。つまり、ペットのいる女性は結婚願望も比較的弱め。ペットとの生活がボーイフレンドや結婚への関心をうせさせ、面倒くさい男と生活を共にする必要はない、と考えている。

 考えても見れば、男女平等の世の中とはいえ、炊事や洗濯、育児などはまだまだ女性の負担になるのが現実。
たとえ恋愛中であっても、会いたくない時にデートに誘われたり、さして行きたくもない店での食事など、時間を拘束されるのも気が重い話なのであろう。

 最近、街を歩くとゴールデンレトリバーやポインターなどの大型犬と早朝散歩をしている女性の姿もチラホラ目につく。また、駒沢公園辺りに行くと、小さな犬とペアルックでベンチに座る女性がいたいりする。今やペットは男性よりも完全に愛される存在となっている時代である。

 ペットを飼う理由はさまざまであろうが、独身男性にチャンスがあるとすれば、この回答に注目したい。独身女性がペットを飼い始めた理由でもっとも多かった「一人で暮らすのは寂しいから」というもの。

 こうなってくると答えはひとつ。まず好みの女性がいたら、ペットの有無を聞くこと。次にもし、その女性がペットを飼っていなかったら、あなた自身が可愛いペットになるしかないのである。「彼女ナシ独身男」の最大の強敵は、犬や猫だということをゆめゆめお忘れなく。


2007年3月4日号


2008.02.26

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第49号 薬物はときには国家を滅ぼす! 『覚醒剤の検挙人数年間1万3000人』

 クマネズミと少女売春と覚醒剤の密売は、複雑化した日本社会の中で、それなりに姿かたちを変え、闇の中でその繁殖率を高めている。

 今回、取り上げるのは覚醒剤。先日、都内有数の住宅地である世田谷区を舞台に公然と密売を行っていたイラン人が検挙された。客は会社員やOL、さらに大学生である。この事件の場合、ボスといわれるイラン人が携帯電話で客と売買交渉をし、薬物の保管先と住居を兼ねたアパートから覚醒剤を持ち出して買い主と接触する。
近所に小学校や中学校があり、売買の場所は主婦などが利用する生活道路とくれば、ほとんど疑う人もいない。

 密売人の背後には大掛かりな密売組織があることが簡単に予想がつく。しかも年間売り上げは数億円といわれる。

 一連の薬物事犯の検挙者数は、覚醒剤、コカイン、ヘロイン、アヘン、大麻などの合計で年間1万5803人(平成17年)である。芸能人が大麻で逮捕される事件も相次いだ。

 薬物がときには国家すらも滅ぼすということは、すでに歴史で証明されているが、薬物の中でももっとも恐ろしいといわれる覚醒剤が全体の8割を占めて、1万3346人と圧倒的な数となっている。

 警察庁刑事局組織犯罪対策部では、来日外国人による不法輸入の取り締まりを強化している。イラン人、ブラジル人など、海外の薬物密売組織への対応は積極的ではあるが、残念ながら大きな効果はみられていない。

 知人の医師から、日本人はこの手の薬物を使用した場合、酩酊状態よりも覚醒状態を嗜好する民族である、という話を聞いた。依存性が強く、いったん毒牙にかかったら、地獄から抜け出せなくなってしまう。さらに覚醒剤犯の増加は、次の凶悪犯行を誘発する恐れがある。これ以上、事態を放置してはダメだ。一日も早く有効な対策を講じていかなければならない。


2008年2月26日号


2008.02.19

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第48号 住宅不況でダチョウが人気 『ダチョウ飼育場日本全国450ヵ所』

 行政不況ともいわれる昨今であるが、中でも建設業界の売り上げ不振は著しい。住宅建設許可がシビアになるだけではなく、認可が遅れるため全国の戸建て業者をはじめ、マンション業者まで、2年前、3年前の建設ラッシュがウソのように、大幅な売り上げ不振にあえいでいる。

 そんな中で、ダチョウを飼育する建設業者が急増中だ。全国で450ヵ所の飼育場があるという。なぜダチョウなのか。それにはいくつかの理由がある。ひとつは折からの健康ブームにあって低カロリーであること。
しかも鉄分やミネラルも牛や豚と比べて、かなり豊富。2つ目の理由は、肉がやわらかく臭みもないこと。全国チェーンの外食店やスーパーから肉の引き合いが相次いでいる。

 さらに良いことに、繁殖率も高い。ある業者は10羽のひなを入手し、せんべいや野菜をエサに今では35羽になっているという。

 ダチョウ自身の適性も大きい。気候の変化に極めて強く、極端な話、零下から夏の猛暑まで耐えられる。性格的にも寂しがり屋で、一度飼うとオリから逃げようとしないらしい。

 このダチョウブームに建設業者だけでなく、各自治体も注目し始めている。例えば山形県の朝日町は、閉校になった県立高校の跡地を県内の建設業者に無償で貸与し、地元特産のリンゴで育てたダチョウの肉を「アップル路鳥」としてPRしている。

 さらに山形県の建設会社は約3ヘクタールの敷地に「しろとりだちょう村」を建設し、週末には100人以上の来場者を迎えている。ダチョウの肉を加工したサラミやダチョウの皮の財布、ダチョウの卵を使ったアイスクリームなどアイデアも豊富だ。

 考えてみると、3年ほど前、BSEがわが国で問題になった頃、牛以外の肉を確保するために候補のひとつとしてダチョウの肉というのも議論された。今回のブームをきっかけにダチョウの肉の認知度が上がり、外食チェーンがメニューに加えたり、有名人のダチョウ肉ダイエットでも始まれば、日本人の食源のひとつとして広く普及するかもしれない。


2008年2月19日号


2008.02.05

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第47号 米クリスマスセール同様の巨大なニューイヤーマケット 『小中学生のお年玉2500億円』

 萎縮する日本経済の中で、無視できないマーケットがある。
お年玉の“市場規模”だ。

 小学館が昨年、小学生に実施した調査によると、別居している祖父母からもらったお年玉の金額は平均約1万1500円。その他の親戚からは約1万9000円。ちなみに隣近所の人からは約3300円で、それ以外の知り合いから約5500円と大変な臨時収入となっている。

 調査を始めた2003年と比べると、祖父母や親戚は600〜900円増、一方、隣近所の人に関しては800〜900円ほど少なくなっている。また、もらったお年玉の総額は平均2万5300円で、2003年より1500円も増えている。

 少子高齢化を境に悩ましい問題もいくつか抱えている。例えば、自分の家には子供がいないが、3人の子供を持つ友人がお正月に遊びに来たとしよう。正直に言って金銭的にも負担だし、先方からのお返しもない。こうした場合のお年玉に関するマナーについても、儀礼的なものなのか、義務的なものなのか、子供の権利なのか、はっきりとしたルールはない。さらに1、2歳児などのプレゼントやお年玉のありがたみがわからない子供たちにはどう対応していいかも難しい問題である。

 さて、もし1人が平均2万円のお年玉をもらっていると仮定すると、小中学生のお年玉市場は2500億円もの市場となる。このお年玉の大半は一体全体何に使われるのであろうか。オモチャや洋服、あるいはゲームセンターなどの遊興費だと仮定すると、アメリカのクリスマスセールと同様に、実は想像以上に大きなニューイヤーマーケットが存在していることとなる。

 お年玉をあげることが必ずしも義務でないとするならば、子供たちに読んでほしい本をプレゼントしたり、見てほしい映画のチケットをプレゼントしたりして、大人たちから子供たちへ金銭感覚より、文化感覚をプレゼントするのもひとつの知恵ではなかろうか。


2008年2月5日号

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