COLUMN:日刊ゲンダイ「数字のホンネ」

2008年6月23日 | 2008年7月7日

 

2008.06.30

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第66号 法的な対策が急務 『ネット通販の苦情・相談8万6000件』

 政府がようやく動き出した。サーバー管理を行っている各社に、とりわけ青少年のアクセスに関する規制を始めようとしている。これに対して各社は言論の自由だの憲法違反だのと反論をしているようであるが、これほどネット絡みの犯罪が続く中で、セキュリティーも徹底できないで利益を優先する姿勢を、民主主義的な議論とすり替えるのは納得できない。

 国民生活センターがまとめた2007年度のインターネット関連通販の苦情も急増している。これなどは法的整備を急いで欲しい。

 商品の未着から注文品の中身をめぐる苦情や相談が相次ぎ、なんと昨年度は8万6000件。05年度、06年度のネット通販(携帯電話含む)の苦情件数はそれぞれ3万9000件前後だったのだが、1年間で倍以上になったことになる。今年に入ってもこの苦情は増加し、過去最高を上回るペースである。

 国民生活センターによると、苦情内容は「代金を支払ったのに商品が届かない」「注文したデザインやサイズと違うものが届いた」、もっとひどいものは「代金を払った後に業者が倒産した」など。さらに無料の商品紹介サイトだと思っていたら、あとで数十万円の料金を請求されたというような詐欺的なサイトもある。

 ご存知の通りネット通販は、アマゾンジャパンや楽天といった大手から地方の小売店が生鮮品を販売するなどさまざまであるが、24時間営業でどこからでも買えるという利点を生かして、そのマーケットを広げている。

 今年度に予測5兆4000億円といわれる通販市場のなかで、ネットと携帯電話の通販市場は右肩上がりを続け、3兆3000億円と見込まれている。つまり、通販市場全体の6割がネットと携帯電話ということになる。

 一番の問題点は、ネットやカタログを含む通販自体にはクーリングオフの制度が適用されないことだ。つまり、買った段階で商取引が成立してしまうのだ。経済産業省は特定商取引法改正案を提出しているようだが、個人間取引におけるこのトラブルは当分増加の一途をたどるであろう。インターネットという魔物は放置していると、もろ刃の剣を持つモンスターとなってしまうのである。


2008年7月1日号

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